昭和42年に廃止。山陰地方の片田舎を走っていた日の丸自動車法勝寺鉄道。
廃線がヨンサントオ以前と早く、なおかつ起点が米子に行くまで非常に時間のかかる場所であったため、この当時多くの鉄道ファンはSL撮影に大忙しだった中、蒸気も走らずつまらない地方鉄道をカメラに収めている風変りなマニアは少なかったことと思われます。

地元山陰地方で「山陰鉄道研究会」主宰されていた方(故人)が、自費出版書として自分の撮りためた写真を大量のフィルムから選抜。自らの解説を加えて1冊の写真集に仕上げたものです。

廃止前の日常の風景、廃止決定後、日に日にお名残り乗車の人が多くなっていく様子、そして廃止最終日の大賑わい。翌日から運転開始した代替バスの様子、一方で役目を終えた駅員さん達の制帽、線路の撤去風景、廃止後は動かなくなった車両群など、葬式鉄としてスポット訪問した鉄道ファンではなし得ない、地元に在住者のみが撮影しうる写真が満載。

法勝寺電車の単独写真集としては大変珍しいうえに、ドラマ性を秘めた珠玉の仕上がり。また一般書店には流通せず、長年主宰を務められた方も故人となられ、会としての活動も停止したことで入手困難な書となっています。

平成14年　山陰鉄道研究会 祖田定一(個人出版)
20.5×22.5cm 　金箔押しハードカバー横開き　55ページ　●絶版

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